「母子健康手帳とマイナンバーカードの一体化を目指す」。国は今年、そんな方針を示しました。読者とSNSでやりとりしながら取材を進める「#ニュース4U」取材班には「紙の手帳を残して」との声が多く寄せられました。国も「紙の手帳を廃止するわけではない」としています。紙の手帳はなぜ人気なのでしょう。母子手帳のデジタル化はどう進むのでしょうか。
手帳を開いて、思い出を振り返る
長野県の女性(43)は最近、次女(10)と予防接種のためにクリニックを訪れた。待合室で次女は母子手帳を手に取ると、手書きで書き込まれたメモを一生懸命読み始めた。
《チャイルドシートが大嫌いで、寝かせると直(す)ぐに大声で泣いて嫌がっていたけど、座る姿勢になったらご機嫌になったよ。みんなの顔や周りの景色が見たかったんだね》
次女が生後6~7カ月の頃、女性が書き込んだメモ。「こんなんだったんだね。かわいいね」と次女に話しかけながら、一緒に読み返した。
「紙の母子手帳はかさばるし、忘れたときに予防接種ができなくなることもある。でも、こうして2人で読み返して、冊子で良かったなと感じました」と女性は言う。
福岡市の50代の女性は母子家庭で育った。
母は16歳のときに他界。母子手帳には自分がどの予防接種を受けたか、どんな病気にかかったかが記録されている。
それだけではない。たとえば生後10カ月のときにはこう書いてある。
《ハイハイはしないけど座ったままずるずると移動。足を器用に動かす姿がユニーク》
「直筆のメモは何物にも代えがたい宝物」。女性にとって母子手帳は母の形見でもある。
#ニュース4UのLINEへの投稿には、「マイナカードを持ちたくない人もいる」「デジタルを使いこなせない人もいる。今の手帳は残して」という投稿もあった。
マイナンバーカードとの一体化 メリットと課題
母子手帳はここ数年、デジタル化が進む。
マイナンバーカードの専用サ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル